有限会社長野刺繍
Nagano Embroidery Ltd.

有限会社長野刺繍は、名入れやオリジナルグッズなど刺繍加工の製造販売を行う、家族で営むまちの刺繍屋さん。強みは「お客様の思い通り」。オーダーメイド製品は十分にヒアリングをしてイメージを描き、社長自らミシンを回してかたちに。工場では型から一貫して生産しているので、さまざまな要望にひとつひとつ応えることができます。長野刺繍を拠点に、刺繍にまつわる幅広い活動をされている作家の長野訓子さんは、ときに画家の繊細な筆遣いを手刺繍で再現する仕事も。まさに、色とりどりの糸が描く刺繍の可能性を広げてくれる刺繍屋さんです。

process

ワッペン
天王寺動物園の人気者たちを
どこでも好きに貼りましょう。

Report

大阪・吹田市の長野刺繍は、昭和62年創業。
社長の長野信吾さんは、もともとは会社員でしたが、親戚が営む刺繍工場に丁稚奉公として働くうち、刺繍の面白さに魅せられ、独立し、今の長野刺繍を経営しています。

現在は、ほぼご家族で営まれている長野刺繍。忙しい春先などは休日もなく、毎日ミシンを動かしています。学校用品の名前入れから、アーティストのグッズ制作、個人のお客様のニーズに応える小ロットのデザインまで、幅広く対応しています。

民家を改築した工場には、量産型の巨大な刺繍ミシンが所狭しと並んでいます。最先端の技術と、昔ながらの職人の経験とを組み合わせた仕事が、日々、ここから生まれています。

パンチカード(刺繍データ)作りから、アイロン接着やピン付け、ロック掛け加工まで、社内で丁寧に仕上げる長野刺繍。

長野刺繍の強みは、「パンチカード」と呼ばれる刺繍データをつくる技術。デザインをつくる際に、細部の仕上がりイメージを描きながら、加えて糸の量などのコスト計算まで考えながらの技術を社内で行うことにより、小ロット・短納期の生産にも応えることができます。

1960年代までは、紙のテープに無数に穴の開いたものを使って刺繍が管理されていたため、「パンチカード」「パンチ」と呼ばれています。今では刺繍データはコンピューターで制作されるようになりましたが、呼び名にはその名残があるのです。

以前はパンチカードを作る技術が職人技であったように、現在ではパソコンでのデータ作りも、職人技とされています。

動物ワッペンのデザインにも、細部の表現にまでこだわりが見えます。動物の毛並みを表現するための針の走らせ方や糸の密度、リアルな質感を出すための糸の色や質感、甘くなりすぎない表情作りなど、長野さんならではの仕上がりになっています。

工場の一角には、最新型のものとは風情の違う、年季の入った小型のミシンが置かれています。社長の長野さんが大切にしている、アメリカのSINGER社の手刺繍用横振りミシン。

今では細部の修正や微調整のみで使用しているというミシンですが、フリーハンドでの刺繍の手さばきは、この道40年の職人技です。

横振り刺繍とは、 針が左右に動くミシンを使い、 職人の手で直接生地に柄を起こす技法。足元のペダルを調整しながら、 刺繍の振り幅をコントロールします。 以前は、小ロットの柄や、名前などの一点物を縫う際に使用していました。今では、この横振りミシンを扱える経験と腕を持った職人さんも、日本でも数少なくなっているそうです。

家族総出で忙しい毎日を送りながら、刺繍の魅力について語り、自らを「まちの刺繍屋さん」と呼ぶ長野刺繍。 熟練の技と、新しいものをどんどん取り入れる懐の大きさが感じられます。